大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2312 判決

主 文

本件再上告を棄却する。

理 由

弁護人川上隆上告趣意第一点について。

しかし、原判決は、記録上、第二審裁判所において公判期日前所論a村々長B作

成の書面が提出された事跡の認め得ないことを理由として、かかる書面の提出を前

提とする論旨を排斥したものである。上告裁判所は上告趣意書において主張されて

いる事実審裁判所の手続上の事実が一件記録により認め得ない場合、上告人におい

て該事実を証明しないにも拘わらず、更に進んで職権を以てその事実の有無を調査

すべき責務を負うものではない。そして「記録第一二二丁Aの上申書、同第一二三

丁a村長Bの証明書」等の存在は必ずしも所論書面の提出を明瞭ならしめるもので

ないことは多言を要しないところである。されば記録上他に該書面の提出を窺い得

べき証跡のない本件において、原審がかかる事実を認め得ないとしたことは正当で

あり、原判決には所論のような違法はなく論旨は理由なきものである。

同第二点について。

原判決は要するに、証拠申請の採否は特別の定ある場合を除いて事実審裁判所の

裁量に委ねられているところであり、しかも本件第二審裁判所が所論の証拠申請を

却下したのもその裁量権の範囲内において適法になされたものであることを認め、

再上告人主張の論旨を排斥しているのである。そして憲法三七条二項前段の法意が、

被告人又は弁護人から申請した証人は案件の判断上不必要と思われるものまで悉く

訊問しなければならないという趣旨でないと解すべきことは、既に当裁判所大法廷

の判例とするところである。一件記録上窺い得る第二審裁判所における被告人に対

する審理の結果に徴すれば、所論被害の賠償等犯情に関する事実が仮りに立証せら

れ、量刑上斟酌せられたとしても、判示犯罪事実に照し、必ずしも第二審判決の言

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渡した刑が条理に反し違法であると即断することはできないのである。

従つてまた、かかる程度の犯情についての証拠申請を不必要と認めて同裁判所が

却下したこともその審理の経過に鑑み必ずしも違法であるとはいい得ないのである。

されば所論証拠申請の却下を事実審である第二審裁判所の裁量権の範囲に属すると

ころと判示して第二審判決を維持した原判決には所論のような違法はなく論旨は採

用に値しない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長部謹吾関与

昭和二四年一二月八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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